がりらぶ21
「そんなにいらいらしていて何とも無い、と言う事は無いでしょう、深山君」
振り向くと彼女は表情を消してこちらを真っ向から見つめている。いや、睨んでいる……
(……そんな訳はないよな)
眼鏡がずれた隙間から、彼女の背後に立ち込める色が見えた。
深い、深い、蒼。
それは、海よりも深い優しさと。
渇ききってしまった哀しみ。
「どうかしましたか?」
葵が不思議そうな表情でこちらを見つめている。
自分の事を心配してくれている人に対し、何も言わないのは失礼だろう。先程の二の足を踏む訳にもいかないので苛立ちを抑えながら答えた。
「大丈夫。ちょっといらいらしているだけですから」
「……そうですか。ところで深山君」
「なんすか?」
「お茶はどうです?」
「お茶?」
「はい。食後のお茶です」
彼女は顔に例の柔らかな笑みを貼り付けている。
(……本当に悪気はないのか、この人?)
満腹に近い状態でお茶を勧める……いやがらせか?