13
彼女の表情が本当に残念そうに見えたので、軽く頭を下げて謝辞を述べた。
「がっはっはっは!俺は機嫌がいいぞ、緋影っ!今日は俺が奢ってやるっ!カツ丼定食でいいなっ?!先輩は何がいいっすか?!」
「それじゃカレーうどんに親子丼定食、それからジャンボピザをお願いします」
大竹の表情が、一瞬にして凍った。緋影の顔にも『本気か?』という文字が書いてある。
「その、先輩、カレーうどんと親子丼はセットメニューじゃないすけど……」
「わかっていますよ。どうかしましたか?」
不思議そうな顔で葵は大竹を見つめ返す。彼女の表情には『何がおかしいのか』といった疑問が浮かんでいる。
「わ、わっかりやした、先輩。親子丼にカレーうどんですね」
大竹は財布の中身を気にしながら人の群れの中に突っ込んで行った。
「でも二人とも少食なんですね。カツ丼定食だけで足りますか?」
学食のメニューはボリュームが自慢だ。はっきり言って学食のカツ丼定食は他店のカツの二倍は厚く、枚数も4、5枚多い。その上卵と玉葱をこれでもかという位乗せ、とどめにご飯の量ときたら三合はあろうかと思うほどだ。更に豚汁のように具だくさんの味噌汁を出された日にはノックアウトされてしまう。そして化物カツ丼に代表されるように、親子丼や、カレーうどん、ジャンボピザも尋常な量ではない。